邦画「仁義なき戦い」は何故今なお支持されているのか?

仁義なき戦いヤクザ映画

仁義なき戦いを観たことが無い時から気にはなっていた

※この記事はうろ覚えの記憶のもとに書いています。

「♬パララ~、パララ~」のテーマ曲は、現在のテレビ番組の中でもかなりの数が使われているので、これが仁義なき戦いのテーマ曲であることすら知らない人も多い。

何か大事件が起きると、大抵流れるのがこのテーマ曲だ。

仁義なき戦いのテーマ
独特でいかにも「何か大変なことが起きてしまった」と想像させるテーマ曲

私は「仁義なき戦い」をまだ観たことがない頃からこの作品が気にはなっていた。

というのも、バラエティー番組のパロディとして、度々登場する機会が多かったからだ。

「なぜ仁義なき戦いのパロディーはこんなに多いのだろう?」

と思わざるを得なかった。

記憶にあるだけでも、

  • 1991年新春かくし芸大会(ものまね 残侠伝 仁義ある戦い)
  • オレたちひょうきん族
  • とんねるずの「みなさんのおかげです」
  • はねるのとびら

などでお笑い芸人達が「仁義なき戦いの出演者のものまねをする」というのがテレビの中で恒例になっていた。

はねるのとびらでのパロディーは、私が仁義なき戦いを視聴した後に観たが、堤下敦の広島弁はなかなか堂に入った演技だったと記憶している。恐らく堤下は本作が好きなのではないだろうか?

上の3つのパロディを観ていた段階では、まだ仁義なき戦いを観たことが無かったので、お笑い芸人達のものまねがどれだけ面白いのかが判らなかったが、後に片岡鶴太郎の金子信雄のものまねは秀逸だったことがわかった。

そんな折、仁義なき戦いがTV放映されると聞き、早速録画予約をしたのであった。

Wikipediaで調べたところ、 〔 第1作 TV放映時(1991年4月27日)で、映画『首領になった男』の公開を控えていた主演の松方弘樹がゲスト出演していた 〕と説明があるように確かに松方弘樹がゲストで出演して、仁義なき戦いの撮影当時のエピソードを紹介していた記憶があるので、私がTVで観たのはこれに間違いない。

多分最近は全く見なくなったVHSのテープを探せば、当時TV放映の録画をしたビデオテープが家の中のどこかにあると思う。

松方弘樹が話していたエピソードで覚えているのは、撮影当時皆が朝までお酒を飲んで、寝ないで撮影に挑んでいたため、皆ハイテンションで目がギンギンになっていたという話をしていた記憶がある。

かくして、初めて仁義なき戦いを視聴できたが、その面白さにドップリ浸かったのである。

仁義なき戦いが実話に基づいたノンフィクションだということを知らない人が多い

仁義なき戦い―美能幸三の手記より (死闘篇) (角川文庫 (4394)) 
仁義なき戦い―美能幸三の手記より (決戦篇) (角川文庫 (4395)) 

過去に何度もパロディー化されて、テーマ曲も度々使われている仁義なき戦いだが、実は本当に起こった事実のノンフィクション映画だという事を知らない人は結構多いようだ。

登場人物の名前が原作では本名であるのに対し、映画では微妙に変更されているというだけで、映画としての脚色はあるものの、ほぼ事実に基づいた映画作品といってよいと思う。

上の2つの本は飯干晃一原作によるものだが、フィクションではなく「美能幸三の手記より」と原題にあるように、広島ヤクザの美能組組長 美能幸三氏が獄中で書いた手記を基に、当時 読売新聞 の記者だった飯干晃一が 解説を加え、 週刊サンケイに連載 し、後に書籍化したのである。

原作が話題になり、東映で映画化が決定された際に、獄中で手記を書いた美能幸三氏やその他関連団体の要望により、登場人物や組織名などを変更するなら映画化してもよいといったやり取りがあったそうだ。

例えば主役の「広能昌三」のモデルとなったのは「美能幸三」といったように、実在する人物名と微妙に変えてあったり、実名と全く違う役名の場合は、実名とわからないように変えてほしいという本人や団体からの要望もあったと推測される。

私はテレビで仁義なき戦いを始めて観る前までは、日本のヤクザ映画と言えば、高倉健主演の任侠ものか、極道の妻たちシリーズくらいしか知らなかった。

高倉健主演の任侠もの は今でも一つも観たことが無いが、極妻はテレビでしょっちゅう放映されていたので、いくつかは観たことがある。

今思えば極妻は単なる娯楽作品だなあと思う。ちゃんちゃらおかしいともいえる。

組を背負った組長の未亡人が窮地に立たされ、最後にはイングラムをフルオートでぶっ放し「覚悟しいや~~」と凄む姿は「いや、ありえんだろ」と突っ込みどころ満載の映画なわけだ。

そういった娯楽作品のヤクザ映画しか観たことが無い私にとって、仁義なき戦いは衝撃的だった。

「なんとういうリアリティー」

初めて仁義なき戦いを観た時は、この作品が実話をもとにした映画だということをまだ知らなかった。ただ映画の副題に「実録」とついているのが気になって色々調べたところ、飯干晃一氏の原作を読むに至り、この映画が事実に基づいて作られた映画だという事を知ったのだ。

テレビ放映を観た1991年は、まだWikipediaはおろかインターネットも普及していなかったので、調べるのに苦労した記憶がある。

原作を読んで実話だということを知り、「このリアルさは納得せざるを得ないな」と思ったのだ。

撮影技法、出演者、音楽全てが合致した仁義なき戦い

手持ちカメライメージ

今でこそ当たり前のように使われるようになった「手持ちカメラによる撮影」というのも、深作欣二監督が確立した斬新な手法とのことだ。

ハリウッド映画で有名なクエンティン・タランティーノ監督は、仁義なき戦いが大好きで、もう100回以上は観ているというのは有名な話だ。 クエンティン・タランティーノ の映画でも深作欣二監督の撮影技法を真似したシーンが数多く存在するのだろう。(どれが?と言われても上手く説明できないが)

仁義なき戦いの魅力として、俳優たちが目をギラギラさせて撮影に挑んでいた話はさきほどしたが、とにかく出演している俳優たちの豪華さと、日本一怖く聞こえる&言葉が汚いとも言われている広島弁が面白さを助長している。

その映画でのワンシーンの広島弁が名言集として語り継がれていることからも、この映画にとって広島弁は切っても切れない関係にあると思う。

「仁義なき戦い名言集」で、検索して出てきたセリフを少し紹介したい。後に漫画「 BE-BOP-HIGHSCHOOL 」でもちょいちょい使われていたので、聞いたことがある人もいるかと思う。

  • 狙われるモンより、狙うモンのほうが強いんじゃ (広能昌三・菅原文太)
  • ワシらうまいもん食うての、マブいスケ抱く、そのために生まれてきとんじゃないの (大友勝利・千葉真一)
  • ワシを生かしとったらオドレら後で一匹ずつブチ殺してくれちゃるんど (山中正治・北大路欣也)
  • 広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで (武田明・小林旭)
  • お前ら、そこらの店、ササラモサラにしちゃれぃ (市岡輝吉・松方弘樹)

映画を見終わった後に必ず真似したくなる名セリフばかりだ。

公開当時、劇場で映画を観た人が映画館から出てくる際、肩で風を切りつつこれらのセリフを真似て「にわかヤクザになっていた」という話はよく聞く話だ。

ブルース・リーの映画を観た後に、皆がカンフーマスターに憧れてアチョーとやっていた時代と同じ時期だ。

菅原文太の渋い演技を支える、他のキャストも粒ぞろいだ。

今でこそダウンタウンの番組で笑いを振りまいている梅宮辰夫だが、仁義なき戦いでは度々登場してかなりの存在感を醸し出している。

1作目で死んでしまっても、2作目以降で違う役で出演するというのは、仁義なき戦いでは当たり前になっているが、梅宮辰夫の場合は、

  • 1作目 若杉寛
  • 2作目 出演無し
  • 3作目 岩井信一
  • 4作目 岩井信一
  • 5作目 出演無し

といった具合だ。慣れないと、「あれ?梅宮辰夫1作目で死んだよね?」となるが、1作目とは違う人物だと認識すると、「ああ、今度は違う役なのね」と頭の中で変換することができる。

ちなみに1作目の 若杉寛という役のモデルになったのは、大西政寛という「悪魔のキューピー」という異名で恐れられた実在の広島ヤクザ であることも付け加えておく。

3作目と4作目に登場する 岩井信一 も 山本健一という実在する神戸の巨大組織の若頭だ。

この役を演じる為にまゆ毛を全部剃り落として挑んだ梅宮辰夫。あまりの怖さに娘のアンナが泣き止まなかったというエピソードもある。

辰兄怖すぎます

松方弘樹 に関しても1作目では 坂井鉄也役で死んだあとも何度か出演していた。

  • 仁義なき戦い(1973年) – 坂井鉄也
  • 仁義なき戦い 頂上作戦(1974年) – 藤田正一
  • 仁義なき戦い 完結篇(1974年) – 市岡輝吉

同じ役者が死んだのに何度も違う役で登場するのは、ちょっとテンションが下がるが、役者の存在感が大きいので「アリ寄りのアリ」で許してしまう。

他にも金子信雄、千葉真一、北大路欣也、成田三樹夫、田中邦衛、渡瀬恒彦などが渋い演技から憎たらしい演技まで様々な怪演を見せてくれるのもこの作品の醍醐味だ。

金子信雄 はシリーズを通して、まさに仁義なき戦いの題名の元となる、「本来は討つべきではない親分」である山守組組長を演ずるが、 当時病に倒れていた金子信雄が「死んでもやらしてほしい」と懇願してこの役を得ただけに、その怪演は原作の 山村組組長山村辰雄のイメージとピッタリといっても過言ではないだろう。

田中邦衛 といえば、「北の国から」シリーズで貧乏でありながらも良き父を演じていたが、仁義なき戦いシリーズの中では 山守組若衆(幹部) 槙原政吉 として、狡猾に立ち回るずる賢さが輝いている。

成田三樹夫 は渋い。とにかく渋い。

渡瀬恒彦は芸能界で誰が喧嘩が強いか?ランキングで必ず名前が出てくるほど、若い頃はかなりバチバチだったそうだが、仁義なき戦いの中でも破天荒ぶりを発揮している。

千葉真一 の大友組組長大友勝利役もとにかく破天荒。ちょっとやりすぎ感もあるが、昭和中期にはこんなヤクザが本当にいたんだろうと思わせる。(当然モデルの元となる人物が存在した)

北大路欣也は日本を代表する大物役者になったが、最近では携帯電話のCMの犬の声を担当していたりする。仁義なき戦いの2作目「広島死闘編」で戦争帰りの 若き復員兵→鉄砲玉→脱獄犯を見事に演じていた。

映画音楽に関しては冒頭でもYoutube動画を紹介したが、これら大物俳優の若かりし頃のエネルギー漲る演技に加えて、あの音楽が差し込まれ、深作欣二監督のリアリティーあふれるカメラワークが合わさると、

「面白くないわけが無い」

となるのである。

仁義なき戦いを何倍も楽しむ方法

仁義なき戦いはその人気故に多くの作品がリリースされた。シリーズがいくつかあるが、後の方になると、原作と違う完全な創作ものや、監督、出演者も全く違うなど、とにかく題名に「仁義なき戦い」とついていれば客が入るだろうということで量産された作品もあるので、どれを観るべきか、どれは観ないで良いか?を私の主観でまとめてみた。(一部記憶が定かでない部分もあるが概ね間違えていないと思う)

まず最初の深作欣二監督による5部作は観るべきだ。

  • 仁義なき戦い(1973年1月13日公開)
  • 仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年4月28日公開)
  • 仁義なき戦い 代理戦争(1973年9月25日公開)
  • 仁義なき戦い 頂上作戦(1974年1月15日公開)
  • 仁義なき戦い 完結篇(1974年6月29日公開)

2作目の広島死闘編は菅原文太演じる 広能昌三の出番は少ないものの、5部作を通して 広能昌三と山守組組長山守義雄との仁義なき戦いが繰り広げられる。

この5部作を観た時点で、一旦先ほど紹介した飯干晃一の原作を読むことをおススメする。

劇中の役名と原作に出てくる実名が違うので少し戸惑うが、Wikipediaを見ると映画のどの役が原作の人物でだれのことかが分かりやすいと思う。(昔はWikipediaなかったから苦労した)

原作を読んだ後にもう一度5部作を観るのも良いが、深作欣二監督作の新シリーズ3つを観るのも悪くない。

  • 新仁義なき戦い(1974年12月28日公開)
  • 新仁義なき戦い 組長の首(1975年11月1日公開)
  • 新仁義なき戦い 組長最後の日(1976年4月24日公開)

組長の首 や 組長最後の日 の内容は覚えていないが、 新仁義なき戦い は一番最初の仁義なき戦いに比べ、わりと原作に近い内容(原作を忠実に再現)になっていた記憶がある。

組長の首 は主人公を演じているのが菅原文太ではあるが、 黒田修次 という役になり、それが実在した人物なのかどうかもよくわからない。Wikipediaを見てもモデルは誰々という注釈がつかなくなっている。

組長最後の日 は大阪、神戸、北九州が舞台となっている時点で原作からは大きく離れた話になっている。

恐らく私の記憶に無いということは最後の作品はあまり面白くなかったのだろう。いわゆる二番煎じというやつだ。

その後も仁義なき戦いのシリーズは公開され、監督がかわり、出演者も根津甚八や宇崎竜童などに変わっているし、原作は飯干晃一となっているものの、広島ヤクザの抗争とは全く違うストーリーなので、

  • その後の仁義なき戦い(1979年5月26日公開) 工藤栄一監督
  • 新・仁義なき戦い。(2000年11月25日公開) 阪本順治監督
  • 新・仁義なき戦い/謀殺(2003年2月15日公開) 橋本一監督

「関係なくなっちゃった」

とまるで ハライチの漫才のようになってしまった作品は私の記憶には全く残っていないのである。 その後の仁義なき戦いはたぶん過去に観たのだとは思うが、、、、。

新・仁義なき戦い (出演: 豊川悦司、 布袋寅泰 )とか、 新・仁義なき戦い/謀殺 (出演: 高橋克典、 渡辺謙 )に至っては観る気も起きませんでしたので観ていません。

観たら観たでそれなりに面白いのかもしれませんが、最初の5部作が秀逸すぎるので、どうせつまらないだろうという先入観があるんですよね。

二番煎じ、三番煎じの作品を観るくらいなら、北野武監督のアウトレイジ3部作を観た方がまだ楽しめるかな。

文太兄ぃや松方兄ぃが亡くなって寂しい近年ですが、銀幕の中では永遠に輝いています。

仁義なき戦い Blu-ray BOX (初回生産限定)

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